特許

 まだ改善の余地はあるが、東京特許許可局だ。  今日か明日かと飛び立つのを待っているが、なにぶん姿が見えないので想像がつかない。ただ、親鳥が餌をくわえて帰ってくるといっせいにチーチーと鳴きだすので、雛があの憎きカラスから逃れて無事育っている事が分かる。昨年の失敗の教訓で、今年は初めての試みを娘夫婦がやった。それはいつもツバメが巣を作る店頭のひさしに下に、厚紙を針金でぶら下げておくのだ。天井と紙は並行になっていて、恐らくその間隔は20cmくらいだろう。ツバメが巣作りのために偵察に来ていた頃に試みに厚紙をぶら下げ、ツバメが警戒せずに巣に出入り出来る間隔を微調節して今の幅になっている。ツバメがぶら下がった厚紙に警戒しなくなってから次第に厚紙の数を増やし、今では50cmX1mくらいの大きさになった。いわば中二階が出来たようなもので、ツバメの大きさなら自由に進入できるが、カラスの大きさだと羽ばたくことが出来ない。おまけに厚紙の中二階に至るすぐ前に、針金で作った輪っかを下げているので、警戒心の強いカラスは余計近づけないだろう。見るからに罠なのだから。  改善の余地とは、カラスを完全に遮断できたのだが、残念なことに一度もまだ雛を見ていないのだ。厚紙を透明なプラスチックか何かにすれば下から全てが見えたのだけれどそこまでは思いつかなかった。来年はきっと娘夫婦もそのあたりを工夫するだろう。僕はまだ一度も雛が見えていないので、自撮りのための棒で写して見せてと娘に頼んだが、いまだ実現していない。今度の攻防の為に大きな三脚をわざわざ買ったのだから、せめて一度でも見せてくれればいいのにと思うが、肝心の自撮り棒を持っていないのだろう。もっともそんなものを持っている娘だったら残念だけれど。