さてどうするのだろう。見殺しか、助けるのか。自分でまいた見殺しの種を、自分でまいた見殺しが助けることができるのか。ただもう一人は自分でまいた種ではないらしいから、どうしても助かって欲しい。  およそ金持ちのお友達しか念頭にないから、助けることはまずしないだろう。気が弱いくせに、いや気が弱いからこそ虚勢を張る人間に、人を助けることなどできるはずがない。その必要もないのだ。他人の痛みなど想像もできない。そもそも痛みなど感じるチャンスもない人間関係のない世界でしか生活していないのだから、アメリカ様のご機嫌を伺うことくらいしかしないだろう。  この国の人たちはこの不幸を見て何をどう考えるのだろう。自分も所詮虫けらのようにあつかわれる人間でしかないと思うのだろうか、それとも自分は守られる種に属すると優越感に浸るのだろうか。所詮末端でしかない人間が、そのことに気がつかないのが、今の何とも言えない不愉快な日常をかもし出している。