浮き輪

 溜飲が下がるとはこのことを言うのだろうか。以前から感じてはいたものの、いまひとつ声を大にして断罪する自信がなかったことを、外国の人が見事に指摘してくれた。素人の僕が何も足すこともないから、そのまま共感できるところを抜粋して載せる。抜粋だから前後の脈絡は完全に乱れていることを承知しておいて欲しい。

David Atkinson●1965年生まれ。オックスフォード大学で日本学を専攻。アンダーセン・コンサルティングソロモン・ブラザーズを経て、92年ゴールドマン・サックス入社。

例の「おもてなし」です。日本では財布を落としてもほぼ確実に戻ってくるってよくいうでしょ。でも警視庁の数字では、現金では届け出があった額の40%にすぎない。残り60%にはいっさい触れず、都合のいい少数を大げさに持ち上げる。サッカーW杯のとき、日本人観客のゴミ拾いが日本人の美徳として話題になった。なら、鎌倉の花火大会の後を見てください。ゴミだらけです。立派なおもてなしは確かに存在しても、それで日本が世界一のおもてなし国である客観性にはならない。・・・日本の鉄道は定刻運行、犯罪も少ないなどと自慢しますが、それは単なる住民目線でいいだけで、それがおもてなし? それを確かめるためにわざわざ外国から観光に来たりしないでしょ。本当に観光立国を目指すなら、住民目線で見た日本のよさと、観光の魅力とを結び付けるのは違う。・・・2000年の歴史がある国で感動したのが自販機、コンビニ、アニメ、それだけ? 日本の魅力ってこの程度? って思う。見てると悲しくなるんですよ。・・・京都に来た外国人観光客の不満は「英語が通じない」の次が「解説がなく何を見ているのかわからない」。ビザを緩和して1000万人を超えたという数字に意味はない。

アホノミクスの張本人とアホノミクスに浮かれている庶民に読んでもらいたい。パソコンを開いたら出てくる画面に出ていたから読んだ人も多いと思うが、アホノミクスべったりの表紙に間違って載せたのか、はたまた総選挙で圧倒的多数が取れると気持ちが大きくなったのか。いずれにしても、真実を隠された情報の中で溺れそうなこの国の人たちが見える。誰も浮き輪を投げてはくれないのに。