お膳立て

 2週間毎に定期的に漢方薬を取りに来る女性が「まあ大変でした」と言うから、折角好調だった症状が再発したのかと思った。話を聞いてみると本人の症状悪化ではなかったから胸をなでおろしたが、本人にとってはお嬢さんの不調だったから余計辛かったかもしれない。  なんでも、1週間前にお嬢さんがトイレで気絶して救急車で運ばれたらしいのだ。助けを求められてから自分の腕の中で気絶するまでを体験したのだから、不安は想像を絶するものがあったと容易に想像できるが、臨場感あふれる説明に想像力を掻き立てられた。  ただその気絶の原因は本人の体質的なものに由来していないから安心だ。救急車で運ばれたお嬢さんが処置を受けた後帰り際に、この1週間風邪をひいて医院から出された薬を家族が見せたらしい。すると救急の医師はこれが原因だからもう飲まない様にして下さいと言ったらしい。医師が他の医療機関の批判をするのは珍しいが、患者のためを思ってタブーを犯したのだと思う。僕もお薬手帳を見せてもらったが、確かに3回処方が変わるたびに薬が増えて、最終的には吸入薬を含めて5種類処方されていた。例によって、たかが風邪で抗生物質は初日から出ている。高リスク以外の人には必要ないとあれだけ言われても、風邪でまだまだ抗生物質を出す医師がいるんだと、変わることの難しさを痛感する。  風邪など日が経てば治るのだから、如何に早く治すかだけが問われる。だとすれば今患っている不快症状を取ってあげれば自然治癒力であとは勝手に治ってくれる。だからヤマト薬局では娘夫婦が作っている900円の薬で対処する。安いから皆さん早く取りに来てあっという間に治している。今年も風邪の人が結構来だしたが、100人以上服用してもらった中で、治らなかったと言う声はまだ1件も聞いていない。  大企業の製品を買えば、解禁された企業献金のせいで、お金が政権政党に行く。いい目をし合っている人間のために庶民が風邪をひくなんておろかなことは避けるべきだ。ありとあらゆる生活場面でのお膳立てに胡散臭さを見つけるべきだ。