勝手

 レポート用紙に縦線を引いて方眼紙みたいなものを作った。横軸には15人の名前、縦軸には、上から日付、項目、参加したかどうかを記録する○×を記す欄を作った。いわば仕切りなおしだ。  会社が好景気なのだろうか、今月新たに3人がかの国からやってきた。来春にはもう3人来るらしい。僕のモットーの平等を徹底するためにはもうこれで管理するしかない。積極的な人がどうしても得をしてしまうから、おとなしい消極的な人にも日本の文化に触れてもらおうとすれば、落ちがないように記録するしかないと思ったのだ。  僕が今時間を費やしているのは、県内は勿論、兵庫県広島県香川県のイベントを漁ること。そう調べるなどと品のいい表現ではない、まさに漁っているのだ。あまりにも人数が増えたので、機会を均等にしようとすれば多くのイベントをまず探し出すこと。そしてその入場料が安いこと。無料ならなおいい。そして最近覚えた僕の手段だが、出来れば途中でパン屋さんがあればいい。僕は以前接待と言う感覚から抜けれなくて、喜んでもらえるだろう食事を探していたが、あるとき息子が「外国人に高級な料理を食べさせてあげても喜ばないよ。お父さんは○○○○料理を出されたらえずくじゃろう」と言われて悟った。以来おいしいパンを途中で買い昼食にしたりしているが、結構喜んでもらえる。もともと大食漢でない人種みたいだから、量も丁度いいらしい。こちらは予算が下手をしたら10分の1くらいで済むからなおいい。  明日は県北の勝央町で早川太鼓のコンサート。12月の第一日曜日は赤穂で第九のコンサート。2月15日は本命の備中温羅太鼓、3月8日は倉敷で第九のコンサート、15日は久世町で早川太鼓。どうして3月に第九があるのか不思議だが、これで行きたくても行けない人も連れて行ける。要は僕が聴きたくて仕方ないものばかりに連れて行っているだけなのだが、これだからこそモチベーションが持続する。もしこれが氷川きよしや歌舞伎では朝、目も覚めないだろう。  勝手と言えば勝手だが、僕みたいな人間が人様の役に立てるとしたら、勝手くらいではないと続かない。かつてスポーツ少年団でサッカーとバレーを教えたが、僕の子供たちが属していたこと、僕がバレーを30年やり続けるくらい好きだったことが最大の動機だった。家族も自分の時間も犠牲にしてなんて格好いい話ではない。家族も自分の時間も大切にしたからこその選択だったのだ。まるっきし、今の僕にも言えている。