自業自得

 なるほど、本人が言うように、僕の仕事とよく似ている。僕が人の健康に対して相談を受けるように、彼はお金について相談を受ける。健康とお金の違いだけだ。健康を害する人が最近とみに増えたとは思わない。ただ、彼の分野の患者さんは、素人が見てもわかるように増えているらしい。一部のアホノミクスのお友達以外は、相変わらずのそこそこに甘んじ、そこそこにも及ばない多くの人たちが船底であえいでいる。  前回のバブルを忘れている人は僕らの世代ではいないだろう。当時もまったく蚊帳の外だったから、いい目にも悪い目にもあっていない。世間の雑音に耳を傾けることなく、淡々と暮らしていたから、失われたと言われるその後もまた淡々と暮らすことが出来た。要は、根っから馬が合わないような輩が一喜一憂しているのに関わってなんかいられないってことだ。カネがすべての人種とは最初からすむ世界が違うから、やつらの口臭が届かないところで暮らしたい。  このところ大きな地震をほぼ当てている先生、名前を忘れた。確か地震の研究が専門ではなく測量が専門らしいが、その先生が来年の1月までに大地震が起こると予測している。今まで当たっているのだから今度も当たりそうだが、それが来たら例のアホノ何やらも、オリンピックも、全部終わる。東北地震で少しは謙遜を取り戻すのかと思ったら、この国の人たちは、謙遜のけの字も知らないようなやつらを、いたる分野で祭り上げている。  自業自得のカウントダウンが始まる。