組み合わせ

 時に家族で相談に来たり、その後薬を取りに来るときも最初と同じ組み合わせで通ってくる人達がいる。そのグループに共通なのはいたって仲がいいこと。外面ではなく本当に仲がいいのが伝わってくる。そして有り難いことに、薬局の中で結構リラックスしてくれるから、応対していても気持ちがいい。そうした家族がどのくらいの割合でいるのか分からないが、決して多いとは思えない。その場から逃げ出したいような雰囲気の組み合わせもあるから、良い雰囲気を醸し出している家族と応対できるのは有り難い。  組み合わせも色々なパターンがあるが、往々にして相性がよいのは母と娘だろう。母と息子もまずまずだ。時に父親と娘でこちらが感心するほど愛情深い親子もいる。ごく稀だが、父親と息子というのもある。こうなればほとんど尊敬に近い。どうしたらそんな関係を保つことが出来るのか教えて欲しいくらいだ。  今、目をつむって指を折れば、両手ではとても足りないくらいの組み合わせが目に浮かぶ。具体的に披露できたら参考になることが多いのだが、僕の薬局を利用する人に特定されてしまいそうだから、それは出来ない。偶然居合わせた人が、恐らく僕と同じような感慨に浸っていたこともあるだろうから、こればかりは書けない。決して悪い話題ではなく心温まる話題なのだが残念だ。  何でも簡単に手に入る超分業時代に、殊更家族の結びつきは必要ないのかもしれないが、自然体で繋がっている組み合わせを見ると、まだまだ捨てがたいものだと思う。