車幅

 右折のため正面からやってくる車をやり過ごしていたら、大きなバスが近づいてきた。今はバスの運転席が結構低いところにあるから、アルファードの運転席の高さとあまり違わない。だからバスの運転手さんを間近に見ることが出来る。何となく近づいているときから雰囲気が違うと思ったら、案の定女性運転手だった。30歳代くらいに見えたが、凛とした表情で運転していた。一瞬のことだが見とれてしまった。  車幅が以前の車からどのくらい広くなったのか知らないが、アルファードになってから急に運転しづらくなった。さすがにもう慣れたが今でも結構気は使っている。車幅の差は僅か数センチのことだろうがそれでも感覚的に広く感じ、いやがおうにも慎重になる。バスに比べたらおもちゃのような僕の車でもこれだけ気を使うのだから、あの大きな乗り物を運転するのにどれだけ気を使うだろう。と言うより、よく平然と運転できるものだと思う。教習所でかなり訓練を受けたのだろうが、それ以前に大きな車を運転してみたかったのだろうなと想像する。好きだったんだろうなと想像する。夢が叶ったんだろうなとも想像する。前輪と後輪があんなに離れている車を操ることが出来るのだから、運転嫌いの僕には驚異的だ。  それにしてもどんな職業でも、一生懸命働いている姿は美しいし神々しい。