親近感

 「白人に多い症状なのですか!私はかなり鼻ぺちゃなんですけど・・・体質だけ一緒なんてなんだか割に合わないです。」  症状を列挙してもらって、飲んでいる薬を尋ねたら、病院で逆流性食道炎の薬をもらって飲んでいると言う。しかし、どう考えても僕にはそうは思えなかった。実際、逆流性食道炎には簡単に効果が出る薬を病院でもらって飲んでいるのに全く効いていない。その点もふまえて僕は後鼻漏ではないかと推測したのだ。そしてそのことを彼女に説明しようとして、本来日本人には少なく、白人に多い症状だってことを説明した。その返事の一部に冒頭のような文言が書かれていた。 インターネット上での患者さんだから勿論僕は会ったことがない。ただ、結構筆まめに色々な症状を教えてくれる人だから、体調についての情報は多い。いや心調の情報も多いかも知れない。まだ見ぬ人を想像することは難しいが、まして性格ではなく外見を想像することは難しいが、薬剤師だから、それも漢方薬を30年近くやってきた薬剤師だから想像できる部分もある。後鼻漏の特徴から鼻筋が通って彫りが深い、まるでジュリアロバーツみたいな人を想像していたのだが、本人の自白にショック・・・ではない。このフレーズの中に僕はなんとも言えぬかわいさを感じる。僕の年齢になったらこの性格のかわいさは、外見なんかより数段価値があることが分かる。単なる遺伝の表現でしかない外見と、遺伝の上に後天的に身につけた多くのものとの合作に、数段の価値の差があるのは当たり前の話だ。 ずっと夫婦だけで暮らしていたから3階の部屋が空いていて、泊まりがけで過敏性腸症候群を治しに来た若者達が50人以上いたが、この女性のように、勿論男性も、誰もが愛おしく感じられた。ハンディー?を懸命に克服しようとしている姿に出来る限りの応援をしようと思った。そしてその様な人達が時折見せる上記のような言葉遣いや態度に心が和んだ。「いいめをする人達」とは無縁の人格にしか、僕は今も昔も親近感を持てない。