芸達者

 まず最初に謝っておかないといけないことがある。数日前「御免蒙る」というタイトルで文章を書いたのだが、タイトルだけ載せて肝心の文章が載っていない。ブログを開いてくださった人はかなり不快に思われたと思う。単純に本文を載せるのを忘れていただけで、僕自身ももったいないことをしたと悔やむことしきりだ。プロのように上手く文章を書く能力はないが、その時感じたことをまるで即興音楽の様に毎日書いている。そして書いた文章は翌日には僕のパソコンから削除するから、2度と書き直すことは出来ない。後悔だけが残った。  今日は、倉敷にコンサートを聴きに行った。教会から妻がパンフレットを貰ってきて、インドネシアと東北の子供達を支援するチャリティーコンサートと言うことだった。インドネシアのアンクルンと言う民族楽器を演奏するグループが主催らしいが、竹で出来たハンドベルみたいなようなものだった。だから一つの曲を演奏するのに沢山の人が必要で、器用にみんな演奏していた。しかし僕のお目当てはゲストで出演する赤田晃一だった。なんとなく、いや絶対サックスで「海女ちゃんのテーマソング」を演奏すると思ったのだ。案の定1曲目に演奏してくれたから感激だった。曲の紹介がない前に僕が拍手したから彼は舞台の上で「もう分かっている人がいるんですか?」と言ったが、その拍手が僕だとは気がつかなかっただろう。  同じ岡山県でもなかなか西の方に用事で行くことはない。ほとんど県庁所在地の岡山市で用事が済むから、そこから先は余所なのだ。ただその余所がいい。知っている人がまずいないと考えて良いのだ。今日のコンサートも結局教会からの紹介なのに一人も知っている人がいなかった。だからのんびりと自由に行動できた。少し時間もあったので隣の福田公園と言うところも散策したが、工業地帯を抱えた倉敷市の財政の豊かさを羨ましく思った。  午前中、再来週開かれる和太鼓の演奏会場を下見に行った。倉敷からまだ30分くらい西にあるその町(玉島)をほとんど知らないから、そして会場の駐車場が狭いですよと教えてくれた人がいるから、どうしても下見しておいた方がいいと思ったのだ。道路標識に従って懸命にたどり着くと、嘗て若いときに訪ねた記憶が蘇った。勉強会オタクだった僕がわざわざ20年くらい前に訪ねた町だった。  動かずの大和と鍼の先生に揶揄された僕でも、さすがに若い時は今よりは数段行動してたのだ。ただこの何年間で明らかに行動力は落ちた。ところが運良くかの国の若い女性達と知り合うようになって、動かざるを得なくなった。そうした中で、嘗て好きだった音楽にも再び心が動かされるようになった。今こうして少しずつ色々なものに触れ始めて、自分の不器用振りを再確認するとともに、逆に多くの人の芸達者に驚かされる。