仕事

○○さんへ  昨日が休日だったせいか、今日は二日分くらいの方が入れ替わり立ち替わり来られます。今やっとどなたもいなくなったので遅い返事を書きます。  偶然ですが、さっき3組の方に薬局の中で漢方薬が出来るのを待って頂きました。どなたも僕の思い入れが強かった方ばかりで、ゆっくりと話をしたいのですが、それはかないません。全員よその町からやって来て頂いているので、待ち時間だけは少なくしたいと思っています。ただほとんど僕の娘みたいな感覚で、薬以外の悩みも持ってきますから、いきおい雑談になってしまいます。その中の二人は偶然ですがパニック症状を克服してくれて、方やヘルパー、方や病院の受付事務として働いています。どちらも希望どおりの職に就きやりがいを持って毎日働いています。いわば、日常に恐怖を覚えていた方が、今や立派な職業婦人です。  僕は彼女たちを社会の中に戻したかった。繊細な彼女たちだからこそ出来る社会貢献がいっぱいあると思っていましたから。案の定、一足先に働き始めたヘルパーの方はかなりの人気です。受付事務の方も、いずれ評価を得られると思っています。苦労したものが無駄になる訳はありませんから。僕はあなたのメールを読んで、やはりこの女性達と重ねてしまうのです。折角あなたは職業を得ているのだから、過敏性腸症候群にとって好ましい?寛大な?職場を探し続けるのではなく、貴女自身の気持ちと体を強くしてどんな職場でも働くことが出来るようになって貰いたいのです。職業を選択する条件にお腹を入れて欲しくないのです。何故なら最も苦手とするところで症状が出なくなって初めて完治したと言えるのですから。  あなた方の世代は生きにくい時代を生きています。物と心の両方が豊かな時代ならまだしも、物を追って心を置き去りにしてしまった世代の負の遺産の中で生きているのですから。その様な社会を作ってしまったことに誰も責任をとりません。監獄の中に入れてやりたいような人達が人生を謳歌し、あなた方のような人が言われなき苦しみの中で暮らす、 僕には受け入れがたい不公平です。もっともっと早くあなたを解放できればと願わずにはおれません。 ヤマト薬局