一点

 今牛窓町は、剛力あやめとエグザイルの誰かと白石美帆瑛太でてんやわんやだ。明日の2時からお祭り仕立ての撮影を母の家の前で行うから、ついに娘夫婦も見に行くらしい。明日は2時から留守番だ。  そんな華やかな人達の陰でひっそりとした話題だが、どうやら毎日のように訪ねてきてくれる老人はただ者ではなさそうだ。名前を出せば知っている人は意外と多いのではと思い始めた。ただなにぶん華やかな世界で生きている人ではなさそうだから、学者仲間かインテリ層か自然志向派か経済人の間で有名みたいな気がする。  その方が今日卵をくれた。10個415円で東京では売られているという。パックに貼られている説明によると、卵アレルギーの人にも食べられるものらしい。その方が開発したらしいのだが、全く餌が違う。生産性を無視して不自然なものをいっさい与えないで育てると、卵アレルギーを起こさないらしいのだ。と言うことは、本来の卵タンパクにではなく、外部から紛れ込んだ成分に反応しているのかもしれない。良くあることではあるが。そしてその卵を高知県で作っているらしい。その理由がさすがだなあと感心したのは、高知県が一番鳥インフルエンザにやられにくいのだそうだ。やられたら業者は壊滅ですからと、業者を気遣う言葉にも感動した。  もう何年も、少なくとも10年以上僕は生卵を食べていない。昔は卵かけご飯や生卵をすすっていたが、いっさいサルモネラ菌のことが問題になりだして食べていない。元々そんなに好きではなかったが、食中毒が頻繁に報道されるようになってからはさすがに口にしなくなった。ところが今日頂いた卵はそんな心配は全くないから安心して生で食べてくださいと言われた。そしてその言葉通りすぐ昼食に卵かけご飯をして食べさせてもらった。久し振りだから懐かしい味がした。幼いときの記憶まで遡ったような気がした。 今日又その方が一冊の本をくれた。例の卵について書いてあるらしいのだが、副題に「天才農業研究者のシナリオ」と書いてある。僕はそんな天才と毎日話していたのかと驚いたが、そんな天才ならいつまでも元気でいてもらって、折角の縁だから牛窓のために何かして欲しいと思った。その一点での役になら立てそうだ。 剛力あやめもいいけれど、綾瀬はるかもいい・・ではない、ランニングシャツ姿の知性もいいものだ。