格言

 専門、あるいは職種によって、真理をついた格言はあるものだ。ほとんどの分野に疎いから、そんな言葉に出会えばひどく感動する。発した本人にとって見れば単なる日常なのだろうが、聞く方とすればただただその一語が輝いて聞こえる。 今日、ある不動産屋?さんと偶然話をしているときにふと飛び出した言葉がえらく新鮮に聞こえた。そしてそうかと教えられる言葉だった。「売れない不動産はないと言われています」と彼は言ったのだが、僕らその道と関係ない人間にとっては、いつまでも宣伝の看板が立っている不動産を多く目撃するから、売れない物は結構多いのだと理解している。特に不景気な時代だから、余計その様な印象が強い。  ところが売れないのは、売る方と買う方の金額の乖離だけの問題であって、それさえ合えば売れるのだそうだ。そう言われるとなんでもないような理屈だけれど、その理屈まで素人は到達できない。売れない物は数多く存在して、その世界を被う悲観論しか頭に浮かばないのだ。 他者から見ると僕もひょっとしたら、漢方薬について少しは感動的な言葉を発しているのかもしれない。いやいや、知識がないから知ったかぶりはせず、平易な言葉、いやそれ以下の言葉で話すようにしているから、ヒットは今だ無いかもしれない。今日の不動産屋さんばりに「効かない漢方薬はない」くらい言ってみたいものだ。