見島

 まるで興味の対象外だったが、番組の中のある数字に興味をそそられ最後まで観てしまった。  山口県の見島と言う島は、渡り鳥の中継地になっているらしくて、日本で確認されている渡り鳥550種のうち290種を見ることができるのだそうだ。この2つの数字のどちらに興味をそそられたのかというと、そのどちらにもだ。まずそんなに沢山の鳥が渡りをするのにも驚いたし、その半分以上が一つの小さな島で見られるというのにも驚いた。色々な条件が重なってその快挙が生まれているらしいが、農作業をする住民の傍で鳥達が生活している光景は感動ものだった。どんなに大金をはたいても実現できない自然からの贈り物に見えた。  ナレーションの中で数字以外にも興味をそそられる言葉があった。鳥たちが東南アジアはもとより、オーストラリアや北極圏などから飛んできたり、飛んでいったりしている事実だ。想像を絶する距離をあの小さな鳥たちは飛んでくるのだ。何百キロか何千キロか果ては何万キロか知らないが、何が備わってそんなことが出来るのだろう。休憩はどうするのか、食事は排泄は睡眠はと考えれば不思議なことばかりだが、敢えて知らない方がいいのかもしれない。神秘に留めて置いた方があの小さな生き物たちを敬う気持ちが損なわれない。  決して華々しくはないけれど、黙々と生を刻む姿がバードウォッチングなどという行為を作り上げたのだろう。そんなことが肯定できる今朝の始まりだった。