礼拝堂

なにも守るものをもっていなかった頃、なにも恐くなかった ただ守りたいものをもったとき そして守りきることが出来ないことを知ったとき 僕は一度に臆病になった 震える心を何かにすがりたいと思ったとき僕はひざまづいていた 夕暮れ時の礼拝堂には 誰もいなかった ただ守ってくださいと祈った

誰かを傷つけるのは簡単だ 誰かをも守るのは難しい 悪意はなくても傷つけてしまう 生きる勇気が欲しかったのではない 臆病に生きていける謙遜が欲しかっただけだ 誰かを助ける力が欲しかったのではない 誰かが助かるのを見たかっただけだ

喜び溢れる人に会いたかったのではない 哀しみに打ちひしがれた人の笑顔が見たかっただけだ 偽らない人に会いたかったのではない 偽らなければ生きていけない人に会いたかったけだ 優しい歌声が聞きたかったのではない 歌えない人に歌って欲しかっただけだ 夕暮れ時の礼拝堂には 誰もいなかった ただいと高きところにおられる方に会いたかった