制服

 やはり違和感がある。ずっと長い間製薬会社から届く荷物は、クロネコヤマトか佐川急便か福山通運、それにペリカン便だった。地元の岡山県貨物も忘れてはいけない。それが最近は、例の黒づくめのまるでホテルのボーイさんみたいな人が大きな荷物を持って薬局に入って来るようになった。その人達は、長い間郵便物を届けてくれていた人達だから、大きな荷物を抱えてってイメージがそもそもない。荷物を置くなり受け取りのハンコを要求されるのだが、何故か戸惑ってしまう。彼らにハンコを要求されるときは、ほとんど書留や生命保険の契約の時くらいだったから、滅多になかった。それが今では毎日のようにハンコを押している。会話を交わすこともなくそそくさと帰っていくが、昔の郵便配達の人は違っていた。配達の途中でも腰をかけ、タバコを1本吸って出て行っていた。服装も例の野暮ったい青、その後は緑だった。どうしてボーイのような制服にしたのか分からないが、まるで似合っていない。あれでは方言丸出しで、町民と親しく交わることは出来ないだろう。  難しい経済のことは分からないが、僕は郵便局が民営化されて全く1人1人の個性が無くなったと思っている。以前は上記のように良くさぼりながらよく働いていた。町民との距離を上手くとっていた。堂々と手を抜くような素振りで結構人間関係を密にして、保険なども上手にとっていった。親方日の丸だったが、国鉄のように威張ったところが全くなくて、それぞれの職員が町民の中にファンを持っていた。決してエリートなどはいなかったと思うのだが、スマートな銀行員と良く渡り合っていたと今更思う。 炎天下、オートバイを器用に操り一刻を争う後ろ姿に、正規雇用の希望を見る。同じように働いているのに、差別を受けているのを見るのは忍びない。よそ様のことで関係ないのかもしれないが、みんなで負けている姿などやはり見たくはない。