脳貧血

 日本人の6割が、朝目が覚めた時から身体がだるいそうだから安心した。僕の人生で果たして何時目覚めが良かったのだろうと考えてみるが定かではない。忘れているだけかもしれないが、さすがに子供の時や青年の時はそんなことはなかったと思うが、30代にはもう充分その感覚にさいなまれていたような気がする。青年期の終わりと共に、その感覚は身に付いてしまって、ほとんど習慣の域に達している。人生の半分以上はだるさの中で目が覚めている勘定になる。朝の目覚めがだるい人が6割なら、それ以降の時間帯はどうだろう。そこまで調べた統計はないみたいだが、僕なんか1日中倦怠感の中にいるから、増えるのか減るのか知りたいものだ。 哀しい習性か救いか分からないが、相談者が来たら俄然スイッチが入る。それまでは立ったまま寝ているのかというような無気力な僕でも、身体はしゃんとし頭は充血してフル回転し始める。こんな状態が続けばカリスマ薬剤師にでもなれるだろうが、なんのことはない、相談者が帰ったら又脳貧血状態に戻って、得意の直立不動型の惰眠をむさぼる。  理由って大切なものだ。大きな理由なら歓迎、いやいや小さな理由の連続でもいい。自分の志気が上がる理由、人様の役に立てる喜び、そんなものがあれば凡人でもなんとかけだるさを打破できる。体も心も希望や目的があれば上手く回転しけだるくはない。日本人の6割が、希望と共に目覚めたり、使命と共に目覚めたりしていないのではないかと思う。体のだるさは心のけだるさとは離して考えられないのではと、素人の勝手な思いで納得している。 けだるさの中で週末がつまずいている。