置いてきぼり

 税理士さんが、いくらエコカーを購入するときに補助があっても、元が高いので中古車を数年ごとに乗り潰す方がいいと教えてくれた。国は景気浮揚のためにお金を使うことばかり奨励するが、元手がない人がその気になって使いすぎるととんでもないしっぺ返しを受ける。そもそも、お金を使えと説くのは教育上、道徳上問題があるだろう。質素倹約は幼いときからたたみ込まれた道徳で、それを破棄するのはなかなか困難だ。その教えで危うきに近寄らなくてすんだのだし、他人を欲望のために利用することもなかったのだから。 どこからお金がそんなに出てくるのか知らないが、ありとあらゆるばらまきが行われている。高速道路も利用しないし、車も買わないし、株もやらないし、家も建てないから、恩恵は全く受けない。それでも消費税の大幅アップで数年後はきっと沢山の税金を払うことになる。要は、僕が払う消費税で誰かが高速道路を利用して後楽に行き、誰かがハイブリットカーに買い換え、下がった株を保証してもらい、新築する。僕もここまで貢献できれば本望だが、豊かな人達だけに貢献するのなら空しくなる。  経済、職業、健康、色々な分野で置いてきぼりの人達が増えている。その光景に敏感に反応して多くの善意を寄せる素晴らしい人達も増えているように見えるが、偉い人達の興味が向かないのが寂しい。何もかも所有している恵まれた人達には、所有できない人達のことを想像するのは難しいのだろう。ちょっと耳を澄ませば、持てる人達はとんでもない規模の善行が出来るのに。所詮ない者のひがみか。