腰痛

 僕が事務方をやっている漢方研究会に、珍しく夫婦で参加している一組がいる。珍しくと言うのは、何故か会員は独身女性が多いのだ。薬局を経営していたら自立できるし、面白いからか、又そもそも漢方をやろうと言うのは男も女も変わり者が多いのか、3分の2位の女性が独身だ。その中で夫婦者というのも少数派だし、夫婦で出席というのは他にはない。  その夫婦の夫が、ずっと腰を痛めていた。かなりの痛みらしくていつも表情は暗かった。ところが昨日は一見して表情から苦痛が消えていた。痛みに関しては僕も同類だから気になっていたし、心から同情できるから、時々声をかけていた。何でそんなに調子が良くなったのと尋ねると、鍼が良かったと答えた。ついでにきっかけは僕がくれたと言ったが、その記憶はなかった。ただ、僕は鍼治療の効果は十分認めているし、患者としても僕はファンだから、そんな経験談を話したのかも知れない。痛みや筋肉の緊張をとるのは一番旨いのではないか。駐車場まで一緒に歩いたから不思議に思って車で来たのと尋ねると、彼が運転して尾道まで帰るらしい。ここまで良くなれば安心だ。  40歳前後の夫婦だろうか。若くて真面目そうで、熱心だから、体調にハンディーがあればモチベーションが下がってしまう。今は二人とも勤めらしいが、それでも漢方の勉強を熱心にしていることに頭が下がる。今は日常に余りその知識は活かせないだろうが、守備範囲が広いのは患者さんにとっては有り難いだろう。知らないですまされたらかなわないから。また、正しい漢方薬を伝えていく次の世代の人達も必要だ。ワンクリックで又効能書きを読んで自分で選んでもまず効かない。効けば偶然だ。漢方薬はよく効くという風評を再構築できる若い次世代の人達の奮起が必要だ。そうしないと情報操作できる大企業に天然材料を根こそぎにされてしまう。何故なら漢方薬が必要にない人にまで売り込んでいるのだから。