ゴールデンウィーク

 ニュース番組の中で、ゴールデンウイークが始まってなどと言っているのを聞いて、そうなのかと思った。全く意識の中になかった。昨年は、人並みに連休を全て休んで、旅行などと考えて、連休初日に家を出た。1日目だけ岐阜のホテルを予約して、後は気の向くままどこかでのんびりと過ごして帰ろうと思っていた。ところが、名古屋で患者さん2人に会い、岐阜で先輩に会ってしまうと、もう用が無くなってしまった。目的のない小さな旅を楽しもうと出て行ったのに、用が済んだら居心地が悪くなった。行きたいところもなく、観たいものもなく、目的のない旅で目的ばかりを探して、結局は1泊だけして帰ってきた。帰って、することが無く家にいたら、電話で開けてくれと言う依頼が続き、いつもと変わらないくらいの人を応対した。平生来れない人がゆっくりと来てくれて、結構充実した連休だった。その経験で、来年は家にいて、電話がかかってきた人だけ応対しようと決めていた。だから連休開始のニュースが磨りガラスの向こうの出来事のように思えた。  気力が衰えたのか、体力が衰えたのか、目を通していない情報誌が日に日に高さを増す。連休中にこの山を水平線の高さに戻すことが唯一の目標としている。悲しい性で何かしら目標を立てないと、時間を消化できないのだ。ボーっとすることがとても苦手なのだ。いつからこんな性格になったのだろう。仕事を始めてからだろうか。少なくとも学生時代は5年間もボーっとしていたのだから。その後の生活は5年間の埋め合わせのような気がする。どこかでつじつまを合わせられる。プラスでも終われないし、マイナスでも終われない。だからみんな何となくやっていけるのだ。休み下手も、働き下手も、休み上手も、働き上手も。