臆病

まだ見ぬ貴女に  僕は高校時代、古文の時間に突然声が震えだし、僅か1ページの本読みが永遠の時間の長さのように感じました。それ以来本読みが当たりそうな授業は全部、そっと校門から抜け出ていました。高2の時です。僕もあなたと同じように浪人しました。その後何年もかけてかなり克服できましたが、青春時代いつもそのハンディーと共に生活しなければならなかったのは、つらかったです。若かったし、何も守るものもなかったので結構やばいこともしましたが、ただ人前で本を読むことは出来ませんでした。いわゆるトラウマなのです。  娘が突然、学校を休みたいと言って帰ってきたのも、高校2年生の秋でした。僕自身の経験と、父親としての経験、又薬剤師としてあなたと同じような人を450人くらいお世話した経験から言います。親に訴えるべきです。恥ずかしいことでもありません。素人だから最初は親はとまどうかもしれませんが、話せば、あなたが苦しんでいることは分かってもらえます。症状が分かってもらえなくてもいいのです。苦しんでいることが分かってもらえればいいのです。このトラブルは1人で挑むには敵が強すぎます。敵が自分自身の中にいるからです。回りを巻き込んで、一緒に戦うべきです。かく言う僕も自分の過去を口に出せれたのは、つい最近なのです。あまりにも過敏性腸症候群の相談が多いので、自分の過去を正直に公表して、若者達を救いたかったのです。今は僕の家族も、親類も、嘗ての仲間も皆知っています。ずっと上手く逃げ回ったので、誰も気が付かなかったのです。でも、僕は苦しくて苦しくて仕方ありませんでした。本当の自分を隠して、快活で冗談好きで明るい僕の異なったイメージが一人歩きするのが、いやでした。こんなに臆病だから助けてと、あの頃訴えていれば良かったとつくづく思います。  でも、このトラブルになってからあなたは失ったものばかりではありません。恐らく「謙遜」と言う名の美徳を身につけたと思います。これが身に付くのはとても難しいのです。 得ることばかりの人生では決して身に付きません。大切なものを失ってこそ気付く心のありようだと思います。あなたは決して治らないトラブルと対峙しているのではありません。僕は過敏性腸症候群は病気だなんて全く思っていません。あなたのとてもすばらしい個性だと思っていますよ。 ヤマト薬局

僕が薬を送っている人以外に、ブログの読者がいることを知った。知らない町の知らない人に今朝返信した文章を、その人の許可を得て、知らない町で1人で悩んでいる人達に届けたい。