飛行機でやってきた貴女に

氷点下がいくら水瓶のメダカを窒息させようとしても、氷の下は凍ってはいない そこには生きるための空間が何らいつもと変わりなく確保されているのだ 君は雪と共に山の上から氷点下の街に降ってきた 足跡は記憶の中でたれ込めて、吐く息に水鳥達も息をひそめる

君が微笑んだ時、迷い子のたおやかな風が天守閣を駆け抜けた 君は気付いたか、希望は錆びた鉄橋の下で蘇生を待っている 流れを止めた冬の川は、かじかむ景色を墨色にするが 呼び止める声を、応える声をさえぎりはしない

流れる涙は止まない命、心筋に共鳴する太古の響き しなやかに強靱に凍土に打ち下ろす 今解き放たれて飛ばんとす、タンチョウの羽になって幸せをつかめ 先憂後楽の園に舞うたおやかな風となり、山を越え人生を旅し、幸せをつかめ