各駅停車

 いつも特急電車で通り過ぎていた駅に、偶然乗ってしまった各駅停車の電車が停車した。阪神電車の確か武庫川って言う駅だったと思う。べつに名前の通りにしたのではないと思うが、なんと駅が川の上にあるのだ。何となく電車が止まったときの雰囲気が違うのだ。駅に停車したようであり、橋の上で立ち往生したようでもある。又不思議なことに、すぐ側を、勿論フェンスで境は作られていたが、おばさんが自転車を押して通り過ぎたのだ。こんなことを言っても想像できないかもしれないが、まさに川の上に、川幅と同じ長さに駅が作られ、その外に人が通れるスペースも作っているのだ。電車と人がプラットホームを挟んで鉄橋を共有しているような感じだった。  僕がすぐに思ったことは、橋の上っていったい誰のものなのってことだった。鉄道会社のものなのと疑問がわいた。別にそれで何かが気になると言うことではない。これも一つの関西人のギャグかって思った程度だ。このようなことが他の所でもあることなのかどうか僕には分からない。ただ、吉本新喜劇を産んだ土地には似つかわしい、何でもありの一つのようで趣があった。「堅いことは言わんといて」という声が聞こえてきそうな光景だった。たまには各駅停車も良いものだ。