朝陽

 朝陽を正面に受けた。視界は黄金色に輪郭され、中心部ば存在を許されない。朝陽を拝む人がいる。何かの力を感じ、何かのおかげを期待しているのだろう。沈む陽に比べてエネルギーを感じ、確かに体温を上げてくれるような気がした。  三々五々、中学生が早朝練習のために登校してくる。どんな希望に胸をふくらませて毎日を過ごしているのかと想像する。与えられた直近の出来事に、右往左往しているのではないかと心配する。現代の大人達は朝陽が似合う世代に夕陽を見せているのではないかと危惧する。この国が暮れかかっているから、朝陽を語る人が居なくなっているのではないか。これからを生き抜いていかなければならない子供達に、何を残しているのだろう。迫り来る自然の驚異か、個に埋没した分断された精神か。大人達が追求してやまなかった欲望の惨禍が確実に足音を高くして迫っている。