秋祭り

祭り囃子が 届かぬ里に 荒廃した精神が 低く漂う 見慣れた景色に 瞼を閉じれば ああ、嗅覚に 幼き日々が エイと駆け出す

人が去り 山が去り 時が去る だんじりは許されることもなく 行き場のない明日を引きずり 闇の中でもなお闇になれないでいる

太鼓でもなく 横笛でもなく 鐘でもない 置き去りにされた提灯ほどの 明かりも 温もりもない ああ、嗅覚に切断された秋祭りの夕