天気雨

 今頃もう二人は家に着いただろうか。遠く西の方から、遠く東の方からとても素敵な女性が来てくれた。岡山駅で見送った後、娘が開口一番「二人のお姉ちゃんが出来て楽しかった」と言った。僕は口には出さなかったが「また2人の娘が出来てうれしかった」と心の中で思っていた。(実はその中の一人は半年前に僕の娘になっているのだが)娘にとっては、兄より少しだけ年上の2人なのでまさに「お姉ちゃん」のように感じるらしい。「お姉ちゃん」と幼い子供のような言葉を選んだのに驚いたけれど、それだけ親しみを覚えたのだろう。姉がいない娘には特別な存在なのかもしれない。そう言えば、過敏性腸症候群を克服した「妹達」のこともよく娘は話をする。残念ながら、病気(?)を媒体とした出会いだけれど、とても謙虚で攻撃的でない人間関係を築けてとても幸せだと思っている。今までは、僕ら夫婦だけとの関わりだったが、これからは世代が近い娘との交流もありうるだろうから、僕らが協力出来る分野も広がってくるし、僕らが頂く純朴な愛も増える。不本意だが治療にも経済が介在してしまうので、純粋に心だけを届けることは出来ないが、「天気雨」の中を落ちてくる夕陽のように、明日を夢みれるようになって頂ければ幸いだ。