漢方薬

 昨日偶然二人の方から喜びの電話を頂いた。そんな日は僕の心も晴れる。職業柄どうしても喜んでいただけない方が出る。全ての人に満足していただこうと懸命に努力しているが、なかなかそうは問屋がおろさない。 喜びを共有出来ると、さあ、又頑張るぞと力みが抜けた高揚感に浸れる。時々はそれがないと気持ちの充電ができない。日々のありふれたトラブルのお世話は、そんなに感激もないが、何年も、何十年も苦しんでいる方のお世話は、緊張感と共にやりがいを感じられる。僕の薬局の立地が田舎だからかしらないが、毎日痛みを抱えた方がよく来られる。何故かかなりの確率で改善してもらえている。薬の効果が出ない人のほうが珍しいから、人間が持っている自然治癒力の素晴らしさに感嘆する。僕が治しているのではなく、本来備わっている自然治癒力で治っているのだ。漢方薬は所詮草木だから、自然治癒力を導くものくらいの認識がいい。痛みのトラブルと対極にある心のトラブルも多い。時代を反映しているのだろう。この心のトラブルにも漢方薬がよく効く。4000年の歴史かどうか知らないが、延々と繰り返された人体実験で薬の処方が決まったのだが、大したものだと思う。漢方薬は日々処方が組みたてられるわけではない。古典的な処方でなお、多くの方が救われることに驚いてしまう。