野菜

 毎週のように会うフィリピンの若者達がいる。あまり僕は英語が分からないので細かい会話は出来ないが、日本には技術者として来ていると言っていたような気がする。技術者と言う言葉をかなり強調していたような気がする。技術者として実際に何をしているのか、報酬はどのくらいもらっているのかしらない。  今朝ある新聞で、「外国人研修生・技能実習制度」の実態を知った。名前とは裏腹に研修などほとんど行われず、時給300円程度の低賃金で働かせている事業所があるらしい。日本人の3K離れを補う為に、開発途上国から国際貢献と言う名前のもと、労働者を集めて、安くこき使う。嘗て、戦争で傷めつけ、現代は奴隷のようにこき使うことで傷めつけ、日本人は残酷なものだ。  いつか彼らとスーパーの中で会った。彼らが買うのは野菜だけなのだ。肉が美味しいよとある日本人が言ったら、彼らは高いといって結局は買わなかった。そのあと僕に、肉は高いから食べないと教えてくれた。フィリピンの人が日常何を食べるのか知らない。たんぱく質を肉で補うのか魚で補うのか穀物で補うのか知らない。病気になったら保険を使って病院にかかれるかどうかも知らない。言葉の壁で知らないことばかりなのだ。  一所懸命日本語を覚えて、気さくに笑顔で話しかけてくれる彼らは、異国の物欲で腐敗した社会の底辺を支えてくれている。日焼けした顔に大きく輝く瞳に見て欲しい日本の姿は、時給300円の搾取ではなく、畑の畔で汗をふく農夫の姿と、網をひく漁師の汗の姿と、油にまみれた職人の姿と・・・そう、極ありふれた善良で謙遜な普通の人々だ。