「罪」の語源は、弓の矢がはずれる、的に当らなかったということらしい。そうしてみると僕の漢方薬など罪深いものだ。僕は出来る限り自分が出した薬の結果を知るようにしている。そしてそれをノートにつけている。よく効いている人を○少し効いている人を△、全く効果がなかった人にバツをつけている。統計を取っていないから確かな数字は言えないが、残念ながらそこそこバツはついている。そのバツこそが僕の罪なのだ。けっか、僕は罪深い人間に数えられる。  奇跡とは、ガンが治ることではないらしい。本当の奇跡とは、自分の心一つが変わることによって、世の中が変わって見えることだそうだ。それはそうだろう、世の中で起こっていることすべてが、本当にすべてが変わってしまうのだから。ガンが一つ治ることなんかそれに比べれば些細なことだ。すべてが変わって見える、なんて素晴らしいのだろう。  僕はこの言葉を、過敏性腸症候群(ガス漏れタイプ)の僕の薬を飲んで下さっている人すべてに贈りたい。僕の肝っ玉を強くする薬で、心を強くして欲しい。そうすれば僕が何回も繰り返している「ガスが漏れているかもしれない病」が治る。  過敏性腸症候群に関して、最近僕の罪が減ってきている。胸をなでおろす気分だ。期待を裏切りたくない一心で知恵を絞っている。