欠片

 研修制度と言うもので日本にやってきた後進国の人達を、安い労働力として使っている企業が沢山あるらしい。研修とは名ばかりで、月六万円くらいの給料で働かせ、半分を強制的に貯金させるらしい。そうすると逃げ出せれないからと言う理由だそうだ。逃げ出さなくてもすむようにしてあげればそんな心配をしなくても良いのだが、逃げ出す事を前提とした働かせ方なんて今の時代にあるのだろうか。産業革命以前の話ではあるまいし、奴隷制度があった時代の話ではあるまいし。  月三万円でこの国で食えるのだろうか。三万円が丸々手元に残るのでもないらしい。どうして食えと、どうして生きろと、どうして祖国で待つ家族を養えと、どうして犯罪に手を染めずに清貧に生きろと言えるのだろう。  借金をして、夢を求めてやってきた堅実な人達が犯罪人として帰っていく。一人の人生を変えた方は全く罰せられない。豊な人達は身を守るすべを知っている。身を守る手段を知らない人達は、ひもじさをこらえ良心の欠片を懸命に守りつづけている。