2006-09-19 秋 エッセイ 格子の向こうに 秋が誇らしげに立ち 飛行機雲が 格子と並行に飛ぶ 電線さえも真似て 垂直を誇示する そうか 秋は垂直にやってくるのだ 肺胞のすみまで 乾燥した想いは 潤いを知らぬ砂丘の斜面に似て 風の一吹きで消される足跡を 石膏で固めて この弱き男の行き様とする 母と来て 涙を爆発させる四十女 幸せを演じるな 不幸を慈しめ 季節を折って たたもうとしても 秋は誇らしげに立ち 空を破る