格子の向こうに 秋が誇らしげに立ち  飛行機雲が 格子と並行に飛ぶ  電線さえも真似て 垂直を誇示する  そうか 秋は垂直にやってくるのだ

 肺胞のすみまで 乾燥した想いは  潤いを知らぬ砂丘の斜面に似て  風の一吹きで消される足跡を  石膏で固めて この弱き男の行き様とする

 母と来て 涙を爆発させる四十女  幸せを演じるな 不幸を慈しめ  季節を折って たたもうとしても  秋は誇らしげに立ち 空を破る