エール

 どれだけ辛い思いをして毎日生活しているのか容易に想像がつく。本人もそうだろうが、一緒に来た親もそうだろう。僕は職業柄、冷静を装っているが、本当は一緒に悲しみたいのだ。そして毎日懸命に自分に鞭打っている君に最大限のエールも送りたいのだ。勿論僕がエールを送って解決するわけではないが、薬剤師である前に子供を育てた一人の大人として君に接したいと思った。  今日僕は、珍しく多くの種類の薬を出した。漢方薬を2種類、天然薬を1つ、ビタミン剤、入浴剤。もし君が僕の娘だったらこれだけのものを使い絶対に治そうとするだろう。僕は物売りにはなりたくないから、経済的な負担をかけるのは苦手だ。しかし、君の今日の背負っている不調を解決するにはそれだけ必要だと思った。  君が再び明るく笑って、毎日が楽しくて仕方ないようになって欲しい。だって、こんなに一所懸命生きているんだものね。  薬局には幸いに、命に関わるような患者さんは原則としてこない。しかし、生活の質を決定的に落としてしまっている人は沢山来る。過酷な状況の中で懸命に暮らしている人達に幸せになって欲しい。もっと、もっと、僕に知識と武器が欲しい。