無駄

 「クスリより効く無駄ばなし」
 今朝毎日新聞に載っていた川柳だ。何となく分かる気もするが、本当はそれではいけない。無駄話が薬がよく効く助けになるのがいい。忙しい医師が、患者さんの無駄話に付き合えるかどうかは疑問だが、緊張が緩むならそれは体調にはプラスだろう。ターゲットを目指して邁進するクスリに期待するのは勿論だが、人の体はターゲットの部分だけではない。有機的につながった一つの体だ。大本営が痛みや苦痛のあまり緊張していたら、現場はもっと緊張して、病気もより深刻になる。
 どんな心模様でもクスリが正確に効いてくれればいいが、感情に左右されるのは日常しばしば経験する。恐らくリラックスしているときは、副交感神経優位になって、筋肉が緩み血流が盛んになるのだろう。薬はよく運ばれ老廃物はよく排出される。病気は治りやすいだろう。無駄話がむしろ必要話になる。
 僕は普通の薬局でスタートし、今でも昔ながらの普通スタイルを堅持しているので、無駄話のオンパレードだ。有用な話は知識不足で苦手だから、無駄に徹する。それでも有り難い事に、僕の薬局を無駄だとは世間様がまだ思っていないみたいで、何とか存続している。僕が幼い時に漁師の中で育ったおかげで「クスリ より効く無駄ばなし」を地でいけている。