教材

 今日もまたキャベツを2人から頂いた。これで駐車場には10個近くある。つい先月までは、漢方薬を都会の方に送るときには少し大きめの箱にしてキャベツも入れて送っていた。ところが今月からついに僕の薬局みたいな小規模事業者にも運賃値上げを通告してきたものだから、なるべく小さな箱で送るようにしている。1ランクも2ランクも大きな箱にしたら、結構運賃がかかってしまう。だから泣く泣く野菜を送ることをやめている。
 我が家で食べるには多すぎるくらいどなたもくれるから、都会の方に裾分けするに丁度良かったのだが、それが出来なくなって滞ってしまった。地元の人は大抵知り合いの農家の方にもらっているから、あげようといっても持って帰る人はほとんどいない。その上、折角頂いたものを他の人に配っているところを見られたりしたものなら失礼に当たるから、実際にはなかなか難しい。
 今日3つ持ってきてくれた方が「もう最後じゃから食べて!とうがたっているけどこらえて」と言った。いつもなら何も気にならない、よく耳にする言葉なのだが、今日に限って「とうがたっている」と言う言葉がひっかかった。とうがたつ?そこでその農家の方に聞いた。「〇〇さん、とうがたつは漢字ではどう書くの?」と。すると彼も知らなかった。「プロが知らないの?」と頂き物をしているのにえらそうに言った。向こうも負けてはいない、「漢字を知らんでも、キャベツくらい出来らあ!」それはそうだ、居直られたら仕方ない、インターネットで調べてみた。難しい漢字を書くみたいで覚える気もしない。だけど漢字の書き方とともに意味も出ていたから、勉強になった。想像していたこととは違っていたから、調べてよかったと思う。ひとつでも知識が増えるのは楽しい。引き算ばかりの年齢になっても、知識は足し算が出来る。農家の方との何気ない話でも、好奇心さえ失わなければ教材になる。