典型

 数年前から、妻が勧めた天然薬を愛用しているからではなく、元々元気な人だった。肥満ではないがふくよかだ。そして何より背筋が伸びていて声をも大きい。健康に恵まれた方って時にいるが、共通点は多くて、社会活動に精を出しているとか、若い人との接点があるとか、好奇心が強いとか、睡眠の質がいいとか、ほとんどの条件を満たしている。
 その人が病院で健康診断を受けたらしいのだが、全く異常が見つからなかったそうだ。80歳を既に越しているのか手が届いているのか分からないが。あの年齢で何も指摘されないのは珍しいだろう。だから医師も興味があって尋ねざるをえなかったのだろう。「〇〇さん、どうしてこんなに元気なんですか」と。ところがその方は妻に「だまっとったわ(黙っていた)」と教えてくれたらしい。茶目っ気たっぷりに教えてくれたみたいだが、努力をしている自負もあったのではないか。
 病院の薬はいわば死なないための薬。命を助けるための薬だ。一方薬局の薬は、元気になるための薬だ。切れ味鋭い医者の薬と、穏やかだけれど元気にする薬。旨く使い分けるといい。どちらが優れているではなく、いいとこ取りでいいのだ。現にその人だって、病院にはかかっている。今日もお昼に10分くらい昼食時間をとっただけで漢方薬を調剤していた。おかげで胃のあたりが痛い。そこで取り出したのが病院用の薬ファモチジン・・・・・いいとこ取りの典型。