漢字

 僕は大したつまらない発見をした。どうでもいいような凄い事を発見した。誰も気がつかない、誰でも知っている事を発見した。自慢できる恥ずかしいことを発見した。
 もうかなりの人に届いていると思うが、そしていちいち断りのメールかメモを添えているが、この2ヶ月くらい、薬袋の名前をフィリピン人が書いている。例えば2種類薬を送るときには、僕が手本を示しながら、傍でフィリピン人が真似る。僕の字は皆さん知っていると思うが、速記か象形文字みたいなものだ。その僕が教えているのだから、想像はつくだろうが、風評では意外と僕の字に迫っていて、どちらが僕でどちらがフィリピン人か分からないらしい。あえてフィリピン人ですと断りを入れる必要はなかったと言うことになる。
 さて、僕の世紀の発見は、漢字って難しそうだが意外と簡単な字の集合でしかないというものだ。そばで「横に短い線、下に長く下ろす、一、二、三本横棒、斜め下に短く、くるっとまわして」などと一つ一つの動きを最初は口に出していたのだが、最近は少しフィリピン人が漢字をわかってきたので「人偏を書いて、口をかいて、日曜日の日を書いて、目と言う字を書いて、田んぼの田を書いて、子を書いて、生まれるという字を書いて、月を書いて・・・・・・・・・・」要は結構簡単な字の組み合わせなのだ。上記に上げたようなものはしょっちゅう出てきて、漢字の部分を構成する。これは意外だった。漢字のない外国人にとっては難しいだろうと同情するが、意外と分解すると簡単なように思えた。だからフィリピン人も、僕が手本を示す前に書いたりする。
 毎日いちいち口に出して書いているから気がついたのだと思う。気がついてみるとしばしば同じことを言っていた。そうしてみると意外と漢字も簡単なのかもしれない。がむしゃらに丸覚えするのではなく、理屈を考えながら、眺めてみると結構面白いものだ。教えながら教えられた。何でも億劫がらずにやるべきだ。