「丁度5年間で、5軒の病院に行ったんですけど、あれはなんだったんでしょうね?」と尋ねられても、あれが何だったのか僕には分からない。その5年間は本当に苦しくて、病院や薬に助けを求めていたらしいが、何も応えてはくれなかったそうだ。何処に行っても同じような薬を沢山出され、結局「5年間、ボーっとしていた」らしい。眠れないのに起き上がれない、いつも死にたいと思っていたから、何も出来なかった。何もできないから適応障害の診断がつき、嫁ぎ先の家族から疎まれ、追い出された。  実家に帰らされ、起き上がれないまま悶々としていたときに、近所の診療所にかかった。そこに偶然息子が勤め始めていた。そこで息子が何を思ったのか漢方薬を処方した。心療内科にかかっていて、消化器内科の専門医が出来ることがなかったのだろう。積極的な関与だったのか、消極的な関与だったのか分からないが、その処方がずばり中りまるで別人のように明るくなった。そうなると本来の魅力が復活したのだろう、魅力的な女性に変わった。今では息子のことを神様のように言ってくれるが、その神様に漢方薬を教えたのは僕だから、僕は一体何物だ。神様より偉いとなると・・・  その彼女の友人に、もっともっと精神的に苦しんでいる人がいるらしい。遠くの人だから来るということはできないみたいだが、それもまた聞けば漢方の適応症だ。手助けがしにくいのが歯がゆいが、彼女のように奇跡に近いような変化を起こさせることが出来そうだ。縁があれば、まるで生き返ったような感動を味わってもらうことが出来る。  「大和先生のでも僕のでもいいから、漢方薬がよく効くということを言いふらしてよ」と毎回来たら言うのだが、類は友を呼ぶのか、友人の病気もきつい。自然の命を頂いて、少しでも快適に暮らして欲しいと思う。出来ればでいいが、出来るだけ石油から出来たような薬は体に入れないほうがいい。仕方ないときは勿論積極的にとればいいが、不必要にとらないほうがいい。難しく考える必要はない。動物的な勘を取り戻せばいいのだ。政治と同じだ。本当に怖いのは北の将軍様ではなく、山口県将軍様だ。