別枠

 世界中で何百万人もの高齢者がアルツハイマー病(AD)で苦しんでいる。治療薬にはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンがあるが、その臨床効果は限られており、早期に薬物療法を開始することが長期的に良好な予後につながるかどうかも不明である。そこで、中国・香港中文大学のKelvin K.F. Tsoi氏らは、AD患者に対する早期治療の有効性について、前向き無作為化比較試験のメタ解析を行った。その結果、約6ヵ月早くAD治療薬の投与を開始しても投与開始が遅れた場合と比較して、認知機能、身体機能、行動問題および臨床症状に有意差は認められなかった。

 この何百万人と言う数字は少し疑問だが(もっと多いと思う)この結論には賛成だ。半年前に治療を始めた人と、遅れて治療を始めた人に差がないというのだから、永久に治療の必要が無いと言うことだろう。治す、或いは改善の必要が無いと言っているのではない。効かないものを飲ませて、製薬企業の暴利を助ける必要はないということだ。  そもそもアルツハイマーで苦しんでいると言う表現も疑問だ。母など苦しんではいない。むしろあらゆる苦痛を超越しているように見える。骨折しても、肺炎になっても、飄々としている。そのたびに苦痛を訴えられても出来ることは限られているから、下手に何かをすると余計苦痛を与えてしまいかねない。若年のアルツハイマーはさすがに本人や家族にとって恐怖だろうが、ある程度の年齢に達した人とは別枠で考えたほうがいいような気がする。税金を製薬会社の高給に回す必要はない。