休日

 僕の薬局を利用してくれる人は本当に優しい。僕が結構休みなしで働いていたから(いやではなく働くことはとても好きなのだが)多くの人がたまには休んだらと言ってくれた。そう言った声に押されて少しずつ休みを増やして去年くらいから祭日も正式に休みにしている。休んだからと言ってすることはなく、どちらかというとそれで逆に落ち着かないのだが、耐えて耐えて休みにしている。悲しい性で働いているときが一番気持ちも充実しているし、体調も良い。 昨日の文化の日も何ら予定がなく、どうして時間を潰そうかと悩んでいたら、朝の8時20分に電話があり、アトピー漢方薬を作ってくれと頼まれた。初めての方だったから、薬局を開けて待っていたら、薬局が開いているのを見つけて?いや確信を持って色々な人がやってきた。通りすがりのちょっとした買い物の方もいたが、そのほとんどは、結構深刻な悩みの人が多くて、数人は詳しく問診して漢方薬を作った。又、娘夫婦が作っているあかぎれや肌荒れ、水虫薬、わきがの薬などを市外から3組が取りに来た。噂で聞いたらしく、それぞれがそれぞれのものを取りに来たが、もし僕が根性で薬局を閉めていたら、小一時間かけてやって来たのが無駄になっているから、このときは朝、薬局を開けてと言って電話をしてきた人に感謝した。あの朝一のうったてがないと恐らく昨日は耐えて薬局を開けていなかったと思うから。 昨日来た方の中に絶対この人は昔、僕に休むように助言してくれたよなって人がいた。息子さんの風邪がこじれて、何か良い薬をと言ってこられたのだが、まるで僕がその日も薬局を開けているかのように自然にやってきた。本来なら電話で開けてと言ってくると思うのだが、なんの連絡もなくやって来たから。 結局日没まで薬局を開けていて30人近く応対した。もし僕が昨日薬局を開けていなかったら一体この人達はどうしていたのだろうと、遠くから来た人など不愉快な気持ちで帰って行くだろうと考えると、やはり休むのは精神的には良くないのかなと思ったりした。休日は、いっそのことすぐには帰って来れない遠出などが落ち着いたりするから、イベントあさりでもした方がいいのかと思ったりもした。 とにかく僕の薬局を利用してくれる人は優しい。休めと言って、休みの日に来る。