コーヒー

 もう、儲けたとしか言いようがない。昔から健康にいいことは何もしてこなかった。寧ろ逆で、健康にとって悪いことばかりしてきた。巷言われるよいことは何もせず、巷言われる悪いことはみなしてきた。それでも若い頃は何とかなっていたが、もう何ともならない年齢になってきた。そんな中、最近やたらコーヒーが身体にいいという情報が立て続けに入ってきた。ポリフェノールに至っては緑茶の倍含まれていると言うし、脳卒中なんかも30%近く危険率を下げれるという。  「中高年の男女におけるコーヒーの摂取は、既知の脳卒中危険因子や生活習慣とは独立して、脳卒中のリスクを約30%も低下させることが示された。その機序については不明であるが、コーヒーに含まれる成分は糖代謝に好ましい影響を与え、神経保護的に働く可能性が動物実験において示唆されている。また、臨床的にも、コーヒーの摂取は強力な脳卒中危険因子である2型糖尿病を抑制することが報告されている。今回の報告は、コーヒー摂取と脳卒中の関係を直接示した貴重なデータと言える」なんとも嬉しい報告だ。ケンブリッジ大学が国際脳卒中学会で発表した内容だから信頼性は高い。 コーヒーを飲んでいるだけでいいのなら僕にでも出来る。食事代はなくてもコーヒー代はあった。ついでに言うと、アパート代はなくてもパチンコ代はあった。めちゃくちゃな青春期だったが、今思えば健康にいいことを一つだけしていたのだ。もっとも、コーヒーと必ずセットで煙草があったから、プラスとマイナスを比べれば圧倒的にマイナスの方が勝っていたのだろうが。おかげで煙草は20数年前に止めれたから、以後は純粋に身体にいいことをしていたことになる。いやいや、甘党だから砂糖を入れていた。胃によいからとミルクも入れていた。出来ればブラックがいいと書き添えられていたから、これからは努力してブラックにしようと思っている。  このように誰もがおいやしをしながら健康になれる方法はないものだろうか。我慢とか節制とかは性にあわない。思えば好きなもので健康を害してきたから、コーヒーなんてのは奇跡の飲み物だ。勉強をせずに東大にはいるとか、この顔で俳優になるとか、望んだのはその程度で決して多くを望んでいたのではないが、コーヒーという奇跡だけはあちらからやって来てくれた。