勉強会

 夕方、僕の先生の奥さんから、先生が少し体調を崩されて日曜日の勉強会に出席できないと連絡があった。2日後のことだから僕は大慌てで会員に連絡を入れることになった。その前にまず会場のホテルに連絡したが、2日前のキャンセルなのに違約金を取られなかった。僕はホテルの規則を知らないからただただ恐縮して、嫌がりもせずキャンセルを受け入れてくれたことに感謝した。それと、講師の先生の体調をさりげなく気遣ってくれた大人の対応に感動した。30年間同じホテルを使っているから配慮してくれたのか、どこのホテルでも同じなのかわからない。  その後、前から約束していた用事で出かけ、9時前に帰って来た。昔人間だから、夜のこの時間に電話をかけるのは気が引ける。ただし早く連絡しないと県外からの出席者が多いから、来てみたは勉強会がなかったではすまされないから、出来るだけ今日中に連絡しようと思った。  その時間だから電話に出てくれる人と出ない人が半々だった。店舗と自宅が別々などとそれなりの理由があるだろうが、僕みたいに田舎でやっている人はいないから、営業時間外は電話に出ないと割り切っているのかもしれない。電話に出てくれた人はとても残念がった。この僕でも若い部類に属するような研究会だから80歳代70歳代の先生方なのだが、まるで子供のように残念がる。僕が30歳くらいで研究会に入れてもらった頃、既に実力を蓄えて活躍されていた先生方も当然歳を重ねている。しかし勉強熱心なのは今だ健在で、今回みたいに1度勉強会がなくなるだけでまるで子供のように残念がる。僕らの研究会が、商売を一切排除して成り立っている所以だろう。純粋に漢方薬を薬局で利用して患者さんに喜んでいただく。単純明快な会だから好奇心一杯のまま40年近く勉強会が継続しているのだと思う。営利を優先している会がほとんどの中で、企業の援助を全く受けず、ひたすら治し方を勉強してきたから、一度の流会すら残念なのだ。  僕らの実力で、先生の体調を気遣うのはおこがましいが、やはりホテルのスタッフと同じように心配の声を皆さんから頂いた。洗練されてはいないが、心から心配してくれる声だ。営業的にはそんなに成功している人はいないが、嘘のない勉強会の居心地のよさで、みんなで実力を伸ばしてきた会だと思う。  何が何でも勉強会。何をおいても勉強会だったその日がぽっかりと穴を開けた。残念。