調査

 「これまで、家族の増加を含めた家族構成の変化と脳卒中リスクとの関連を検討した研究はなかった。今回、わが国の多目的コホート研究であるJPHC研究で日本人の家族構成の変化と脳卒中発症を検討したところ、家族(とくに配偶者)を喪失した男性は脳梗塞リスクが高く、一方、家族(とくに親)が増えた女性は家族構成が変わっていない女性より脳出血リスクが高かった。 本研究では、45~74歳の7万7,001人の男女で、5年間(1990~1993年と1995~1998年の間)における配偶者・子供・親・その他の家族の増加・喪失を調査し、脳卒中リスクの関連についてCox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・男性3万5,247人および女性4万1,758人を追跡した104万3,446人年で、合計3,858人が脳卒中脳出血1,485人、脳梗塞2,373人)を発症した。 ・家族を少なくとも1人喪失した人の脳卒中リスクは、家族構成が変わっていない人と比べて11~15%増加した。 ・配偶者を喪失した人は男女共に脳卒中リスクが増加し、男性では脳梗塞、女性では脳出血で有意に高かった。 ・男性では、家族の増加で脳卒中リスクは増加しなかったが、女性では、親を家族に迎えると脳卒中リスクが増加した。 ・配偶者の喪失に他の家族の増加が伴うと、男性では増加した脳卒中リスクが消滅したが、女性ではリスクが増加した。」

 確かに面白いテーマを設定しての研究だ。家族が増えたり減ったりしたときのストレスを、脳卒中で表現したものと捉えることも出来る。そうすればこの結果は腑に落ちる。ただ、主に対象が配偶者や親に傾いているからこの程度の結果に落ち着くが、これが我が子だったらどんな結果になるだろう。子供の喪失はこの世で一番避けたいことだから、異なる数値や結果になる可能性もある。  配偶者をなくした男性は、ある日急に外国での生活を強いられるようなものだ。言葉は勿論、衣食住全てで立ち行かない。そのストレスは想像する以上のものだろう。交感神経びんびんで、血圧を上げて頑張らなければならない。血圧どころか血糖値やコレステロールも動員して頑張らなければ追いつかないかも知れない。血管は硬くなり破れやすくなる。  一方自分の親にしても主人の親にしても、途中から同居するのは大変だ。全ての負担は奥さんにかかってくるから、そのストレスやいかに。仮に姑が嫌味な人間ならなおさらだ。緊張を一日中強いられるとこれまた交換神経びんびんだ。  統計からも明らかなように、男は結構依存症だ。配偶者が亡くなっても誰か家族が増えれば帳消しに出来る。女性はその増えた人をも世話しなければならないかもしれないからリスクが増える。「家では世話になる」男と「家では世話をする」女性の差がよく出ている調査だ。正に僕を言い当てた調査でもある。