信頼

 全幅の信頼といえば大袈裟だが、「ここの会社でダメなら仕方ないか」くらいの信頼感はある。ただ実際には結構不手際も起こるが、さすがに短時間で今までは解決してくれていた。ところが今回は違う。21日に広島に漢方薬を発送したのに、今だ届かない。未着は患者さんの連絡でわかったのだが、もしその方が遠慮がちだったりしたら、一体どのくらいの漢方薬服用の空白が生まれていただろう。  多くの方が経験してうんざりしているのではないかと思うが、大企業には急を要するときにいつでもかけられるホットラインがある。ただ、それらはまともにつながることはない。例の人工的な声で「只今込み合っていますから後ほどおかけください」と繰り返される。本当ならそちらから電話をしてくるのが筋だろうに、こちらから何度も屈辱的なコールを繰り返す。  昨夜もこの屈辱を何度も味わった。全国的な会社だから、何処の県でもつながってくれればと言う思いで色々な所に電話をしたら、10分後くらいにつながった。こちらの素性を確かめられた後、確認しますとのことで安心して電話を切ったのだが、1時間後にかかった電話では、荷物が行方不明だということだった。そして今晩中には見つけられないだろうから明日連絡しますと言うことだった。このあたりでもなお僕は、かなりクロネコヤマトは信用していた。  ところが今朝の電話では今だ見つからないということで、新たに患者さんに漢方薬を作り直して送ってくださいとのことだった。運賃は当方で負担しますということだったが、薬を飲むことができないでいる方に対しての心配りは感じられなかった。マニュアルどおりに謝って、マニュアルどおりに解決する、当たり前といえば当たり前の対応だった。  僕がクロネコヤマトを利用する理由は牛窓出張所の所長の人柄だ。それ以外に理由はない。だから今度のことで他の会社に変えようとは思わない。あれだけの大企業が、あれだけの先端技術を使ってもなお行方知れずの荷物が出てしまうってことが驚きだったのだ。絶対安全と見栄を切っていた原発事故の犯罪に比べればこんなミスは、宇宙の塵くらいなものだ。  クロネコさんと名前は同じでも、前時代的な管理体制のヤマト薬局だから、行方知れずの僕の頭の中をまず、何とかしなければ。