今日の空なら僕でも描ける。青色と白色があればそれで事足りる。後は僕の腕次第だが、それは全く持ち合わせていない。  休日だがまだ積極的に動くことには不安があるから、今日もおとなしく牛窓に留まる事にした。お昼過ぎ、あまりの好天に誘われていつものテニスコートに出かけ、恐る恐るウォーキングを始めた。まだ体重を支えると筋肉の鈍い緊張を感じるが、歩けないことはない。歩けば血液循環がよくなり、しこった背中の筋肉もほぐれるだろうと見込んでいるのだが、やはりテニスコートまでたどり着く間は負荷を感じた。ただゆっくりと周回しているとさすがに背中の負担は減ってきて、幾分嘗ての歩くスピードに近づいたように思う。調子に乗って20分くらい歩き続けた。  その間に何度も空を見上げた。これは僕の癖と言うか楽しみでもある。唯一変化するのが空だから思わず見上げてしまう。すると何本もの飛行機雲が空にたなびいていた。ついさっき通った鮮明なものから、かなり拡散気味のもあった。多くは東西に伸びるものだが、数本はそれと直角に交わっていた。数えてみると13本あり、数えているときも銀色の機体が2つ、飛行機雲を吐きながら西のほうに飛んで行った。あの2機の分を含めると、15機がおそらく短い時間に牛窓の上空を飛んだことになる。飛行機は海岸に沿って飛ぶと聞いた事があるからそれもありだろうが、でもこんなにたくさんの飛行機が飛ぶくらい需要があるのだろうかといつもながら不思議で仕方ない。飛行機は落ちるものと幼い時からインプットされている僕には、利用している人達にはその懸念はないのだろうかと不思議でならない。長い間日本では墜落していないから、若い人は飛行機が落ちるなどとは考えられないのかもしれない。楽観主義者が飛行機を作り、悲観主義者がパラシュートを作ったと言われているが、僕は明らかに後者だ。