掃除機

 今朝も見たが、しばしば同じような番組は目にする。恐らく意図的にその種の番組を量産しているのだろうが、見ていてつらくなる。つらいからチャンネルはすぐ変える。  シェフといえば格好いいが、要は料理人だろう。繁盛している店の料理人が、東北の魚を使っておいしいものを作って振る舞い、東北の漁師や水産業者と知恵を絞り産業を復活させようと言う内容が多い。時に若い女性がレポートしたりする。収録のためにその地を訪れ、収録のためにその地を歩き、収録のためにその地のものを食べる。しばしば登場するのが咲様だ。例のコロリが流行った時に仁先生を助けて活躍した場面は感動的だったが、今あの若さでかの地のものを口にするのはどうかと思う。マスメディアの仕事は勿論、金儲けのためにかの地を訪れる人は多いと思うが、利害関係なくて、そこにしか住めないからすんでいる人がまるでその地に漏れ続けている放射能を、食べ物や飲み物の形で体にせっせと毎日取り込んでいることが恐ろしい。今まで時速40kmでつかまっていたところを、時速1000km以内なら捕まえませんと言われているくらいの見境のなさと同じようなことが放射能の世界で行われている。原爆何百個分が撒き散らした放射能をかの地の人や、かの地から送られてきた食べ物を摂取する勇気ある人たちの胃袋で除染しようとでも言うのだろうか。大地にまかれたものを人間の胃袋の中に集めようとしているとしか思えない。テレビを見ていた僕が自然に口に出した言葉「まるで人間掃除機じゃなあ」何のためらいもなく出た言葉だ。直感的に出た言葉で、印象をよく物語っていると思う。僕にはあがなえない大きな力で操られている掃除機に見えた。いつ壊れるか分からない掃除機に見えた。