説明

 別に褒め言葉でなく自然に漏れた言葉だから、それもレジの時にくみちゃんに話しかけた時に出た言葉だから、これこそ漢方?薬剤師冥利に尽きると思った。 「漢方薬を飲む時間が待ち遠しいんですよ」とその女性は言ってくれた。粉薬でも決して美味しいものではないと思うのだが、早く次を飲みたいらしいのだ。それはそうだろう、元気いっぱいの方が、ある心労から目が回り、以来首から上の不調、又回るのではないかという不安、頭重、のぼせ、凝り等に四六時中つきまとわれてはたまらないだろう。特に首から上の症状は時として人を鬱々とさせてしまうから尚更だろう。どんな症状でも1割軽くなれば随分と生活の質は上がるものだから、その1割を何回か重ねたあげくが、あのどうしようもない絶望感(本人の弁)からの脱出なのだから、早く次を飲みたいのも良く分かる。くみちゃんに言っていたのが偶然聞こえたのが余計に僕を喜ばせてくれた。  ある同業者が僕の薬局のことを不思議に思っているとある人から聞いた。誰が見ても不思議だろう。町の衰退に連れて、いやそれに先行して潰れてもいいのに、何故か持ちこたえている。だけど僕にしてみれば簡単だ。僕がやってきたことで潰れなかったし、僕がやらなかったことが、僕の薬局を潰さなかった。多くの説明はいらない。ただひたすら身の丈に徹しただけなのだ。