新装開店

 なんでこんな所で渋滞が起こっているのだろうと気にはしながらも追い越し車線を悠々と走っていると、午前中に時間つぶしをした新装開店のスーパーが原因だった。信号を2つ分占領していたからかなりの渋滞だ。ただ午前中1時間くらいみっちり見学させてもらった僕からすると、「そこまでして行くべき所か?」というのが本音だった そのスーパーはこの数年、駐車場代わりや時間つぶしにとても重宝していた。と言うと全くお金を使っていないようだが、昼食を3階にあるファミリーレストランで食べるのも密かな楽しみにしていたから、少しは貢献していると思う。外食をあまり得意としない僕だがそこのレストランは珍しく居心地が良かった。理由はいくつかあったが、まず必ず広い店内の半数は席が空いていた。そしてファミリーレストランと名乗りながらも、うらぶれた初老、いや本老人達が結構いて、どう見ても家族がいないか冷遇されているように見えた。そしてメニューは無国籍ながらもどれも最低限の味の保証があった。食べることにあまり興味がない人間にとってはいたって好都合だった。名前を知らないようなメニューがないから、気がひけるようなこともない。  ところが今日3階のそのレストランが、あるチェーン店に変わっていることが分かった。遠くから店を見つけたときにすぐに変わったことには気がついたが、なにやら僕には不都合な変化のように思えた。雑食の僕だからメニューは何でもいいのだが、注文の仕方が分かりにくそうだった。カタカナの羅列で店の外に大きな看板で周知してくれているのだが、ごく普通に店内に入って、ウエイトレスに注文し、料理が運ばれて来るのを待っていればいいという感じには見えないのだ。多くの人が皿を持って中央の島に集まり、野菜かドリンクか知らないがテーブルに持ち帰っている。何と何が○○で何をセットで○○でドリンクをプラスで○○でと、ポスターには書かれているが「どうせい言うんじゃ!」その大きな入り口のポスターと、店内の混雑と、入り口に出来ている行列で戦意は一気にしぼんだ。 これでどうやら僕の見えすぎの隠れ家がなくなったようだ。保守的と思われるかも知れないが、一消費者としては喜べない「真相」開店を分かって欲しい。