家電製品

 2日連続で、家電製品の話。 昨日の年齢不詳のテレビもさることながら、小型のテープレコーダーもかなりの年齢だ。昔、勉強会巡りをしていた頃に講師の話を録音するために妻が使っていた物だが、ついに使えなくなった。と言うのも福島の事故以来小出先生や広瀬隆の講演を録音しておいて、朝夕のウォーキングの時に必ず聞くようにしていたから、結構酷使してきた。  今日量販店で買ったのだが、2つのことに驚いた。いや3つかな。まず、未だ昔のテープをそのまま利用出来るテープレコーダーが売られていたこと。もっとも2種類しかなかったが、あっただけで嬉しい。沢山のテープにとった内容が無駄になるところだったが、これで安心だ。2つ目は、単に録音再生だけではなく、ラジオも聴ける優れものだ。3つ目は、おまけに家電製品を買うたびにいつも驚くのだが、とにかく安い。名前を聞いたことがない会社だったが、3480円だった。今確認したらやはり中国製だった。  随分と長い間、給料が上がらないと言われ続けてきたが、こうして欲しい物が嘗てから言うと随分安くなったので、あながち生活の質が落ちたとは言えないのではないか。電化製品のみならず、かなりの分野で物が手に入れやすくなったような気がする。悪戯に成長を望まず、ましてアホノミクスのように働かずして金を動かすだけで巨万の富を得るような、金持ちのみを優遇するような悪政に惑わされずに、質素を心がけるべきだ。  運動場より広いのかと思わせる家電量販店に一体どのくらいの商品が陳列されているのか知らないが、そんなものなくても豊に暮らすことは出来る。日が照り、雨が降り風が吹き、海は波を起こし、山は緑を蓄える。お尻をサドルから離し、全ての体重をかけて坂道を上る。半世紀を越えて今日僕は再び少年になったが、物で保証される生活の質には当時から懐疑的だった。手に入れた瞬間の喪失感にいつももてあそばれていたような気がする。