天気

 3連ちゃんになるが、こんな楽しい話題を放っておくことはない・ 昨日、新見の城山で行われたコンサートでは、最後から2番目の歌い手(僕の友人の鍼の先生)の時に少し強い雨が降り出した。中国山地だから、瀬戸内の人間には不可解な天気だ。晴天の中、出かけてきた僕達にとっては雨だなんて聞いていないぞといわんばかりだが、実際に降ってきたのだから仕方がない。テントの中に駆け込んで、辛うじて雨の直撃は避けれたが、彼の持ち時間が終わっても雨は降り続いた。雨が激しくなる中を高速道路を帰っていくのは不安だったので、後一つの出演者を残して帰ることにした。ただ城山というだけあって、麓の駐車場まで結構歩かなければならなかった。牛窓を出るときも、天気予報も今日の好天を保証していたから傘など誰も持ってはいなかった。帰りたいし、大切な西の県から来た女性を雨に濡らすわけにもいかないので思案していたら、ボランティアで参加してくれていた店が目に入り、ビールや焼き鳥などを運んできただろうダンボール箱が積まれているのが見えた。そこで店主の人に一つ分けてくれるように頼んだ。すると店主は、3人分のダンボール箱をくれた。それを分解して拡げると少しばかり強い雨でも防げた。僕も、御法度の裏街道を歩いている友人も、西の県の大切な女性も両手で頭上に大きく拡げ、傘のように、いやまるでハングライダーのようにして坂道を降りていった。途中3人で何を話したか忘れたが、彼女も友人もまるで子供のように見えた。ひょっとしたらその日の中で一番楽しかった瞬間だったかもしれない。珍しそうに?気の毒そうに?見えたのか、いくつかの視線を感じたが、雨を防ぎたい一心でそんなことはどうでも良かった。ダンボール箱で暮らすのがお似合いの友人はさておき、僕と一緒に行動でもしない限り決して経験しないだろう「ワイルドだろう」を西の県の女性に体験して貰ったこともよい想い出になった。  何気ない日常の、たわいない出来事を、心の底から楽しめるように是非彼女にはなって欲しい。いや彼女だけではなく、みんな、みんな・・・