他力本願

どんな漢方薬を知っているのと尋ねると「六君子湯とか大建中湯とか・・」でもう止まってしまった。如何に漢方薬が病院で必要ないかだ。特にこの春まで10年間いた病院は大きな病院だったから死に直面していた患者さんが多く、漢方薬の出番など無かったに違いない。「特に○○○の漢方薬だから、効いたと言う話より、そのせいで急性肝炎になった人の方が多く来た」と消化器内科らしい経験を話した。天下の○○○を病院関係者が悪く言うのは珍しい。世間一般の常識とは逆で、寧ろ僕の考えに近い。勤務している間に何か感じたのだろうか。元々接待されたりするのは嫌いな性格だから、経費がふんだんに使えて接待攻勢をかけてくる大企業を信頼はしていないだろう。そんな会社のものだからと言う単なる勘だけかもしれないが、何か胡散臭さも感じている雰囲気だった。  漢方薬は中国の生活水準の上昇と(人件費の上昇に繋がる)欧米の漢方薬ブームと乱伐で原料単価が急上昇している。そのせいで医療保険で使われる漢方薬は、材料費より保険で請求出来る値段が低くなったりするケースが出て来た。いわゆる逆ざやっていうやつだ。こうなれば売れば売るほど損をするから、会社も考える。そうして編み出される方法は誰でも考えつく方法で、粗雑な今までは捨てていたような材料を使って漢方薬を作るってことだ。利益を出そうとすればこれしかない。だから最近の医療用の漢方薬はますます効かなくなっている。僕に言わせれば運のいい人が偶然効いているだけだ。だから息子には「もし漢方薬を診察で使いたいなら、○○○のにしたらと言った。本当は○○○○のがいいけれど保険で使える種類が少ないから難しいかな」と言った。息子は分かったと言っていたが、勤め人の手前自分の自由に出来るかどうかは分からない。 まだイロハのイの字も知らないような段階だが、あっという間に僕を追い抜いて欲しい。患者に近い分自由な治療が出来るみたいだから、死ぬ病気ではなくても、辛い病める人を沢山救って欲しいと思う。こんなことを言う僕はほとんど他力本願気味だが。